Ⅱ 式と方程式 · ステージ 11 — 二次方程式 · 11.2 平方完成 EN日本語
ステージ 11 · 二次方程式

11.2  平方完成

どんな二次式も完全平方式に変形して、根号を取れる形にする。

対象年齢:13〜15歳 · 直感を大切に
x·(b/2) x·(b/2) (b/2)² x b/2 x b/2 角を はめ込む (b/2)² 完全な 正方形!
角が一つ欠けた正方形。欠けた小さな琥珀色の (b/2)2 の角をはめ込むと、全体が一辺 (x + b/2) のきれいな正方形になる。このはめ込みの操作が、この授業のすべてだ。

11.1では、二次方程式を解けるのは、最初から (x − 3)2 = 16 のような完全平方式の形をしているときだけだった。両辺の平方根を取れば答えが出る。でも現実には、ほとんどの二次方程式はそんな形をしていない。x2 + 6x + 5 = 0 には、どこにも明らかな完全平方式はない。だからどんな二次方程式でも、その親しみやすい完全平方式の形に変形する操作が必要だ。その操作が平方完成であり、名前のとおりそのものだ。もう少しで正方形になりそうな形に、足りない一片を加えて完成させる。

この授業を終えると、x2 + bx を見ただけで平方を完成させる数をすぐに答えられるようになり、どんな二次式も (x + m)2 = k の形に書き換えて、そこから方程式を解けるようになる。先頭係数が 1 でない場合も含めて。色には意味がある:青は平方の項、x2 のブロックティールは一次項 bx、両辺の帯琥珀色は定数——そして加える小さな角の数紫は根、つまり求める答えだ。

11.2.1 完全平方式の公式を逆に読む

完全平方式の展開はもう知っているはず。因数分解から:

(x + m)2 = x2 + 2mx + m2

左から右に読めばおなじみだ。この授業のコツは、右から左へ——逆に読むことだ。前の二項、x2 + 2mx だけ渡されて「完全平方式にするには何が足りないか」と聞かれたとしよう。真ん中の項に注目する。x の係数は 2m だ。つまり mx の係数の半分にすぎない。足りない最後の項は m2——その半分の数を二乗したものだ。

一行でまとめる鍵のアイデア

x2 + (係数)·x が見えたら、完全平方式を完成させる項は (係数2)2 だ。x の係数を半分にして、二乗する。それだけだ。

具体的に確かめよう。x2 + 6x を考える。6 の半分は 33 を二乗すると 9。よって平方を完成させる数は 9 で、実際に

x2 + 6x + 9 = (x + 3)2

括弧の中の 3 は、半分にして得た 3 と同じだ。これは偶然ではなく、そうなる理由がある。x の係数を半分にした数が正方形の中に入り、その数を二乗したものを外に加える。

🎮 試してみよう完全平方式、両方向から

m をドラッグして、(x + m)2 の 4 つの部品に面積が分かれる様子を観察しよう。琥珀色の角が、平方を完成させる片だ。

m 3

11.2.2 先頭係数が 1 のときの平方完成

次は、この観察を自動でできる習慣に変えよう。x2 + bx があれば、手順は三つの言葉でまとめられる:半分にして、二乗して、加える。

素早く 3 回練習しよう。x2 + 8x なら:8 の半分は 4、二乗すると 16、よって x2 + 8x + 16 = (x + 4)2b の符号はそのまま引き継がれる:x28x なら、−8 の半分は −4(−4) を二乗してもまだ 16(二乗するとマイナスが消える)だから x28x + 16 = (x − 4)2。加える数は常に正;符号は括弧のにしか現れない。

奇数係数でも壊れない——ただ分数になるだけだ。x2 + 5x なら:5 の半分は 5/2、二乗すると 25/4、よって x2 + 5x + 25/4 = (x + 5/2)2。分数を怖がらなくていい;手順はまったく同じだ。

注意——よくある間違い

加える数は (b/2)2 であって、b2 ではない。x2 + 6x に加えるのは 9 であり、36 ではない。係数そのものを二乗してしまったなら、半分にするのを忘れている。次の節の図を見ると、なぜ半分にしなければならないかがはっきりわかる——帯は二本あり、一本ではないからだ。

言葉についてひとこと。式を書き換えるだけなら「加える」は文字通り角を書き込んで正方形を完成させることを意味する。しかし方程式を解くときは、一方の辺に自由に数を加えることはできない——等式を保つために両辺に加えなければならない。これは 11.2.4 で詳しく扱う。今は角を特定することに慣れよう。

🎮 試してみよう欠けた角を埋める

b を上下に変えてみよう。破線の琥珀色の正方形が、x2 + bx を完成させるために加えなければならない角だ。

b 6

11.2.3 先頭係数が 1 でないとき

これまでは二乗の項が係数 1 の x2 だと仮定してきた。手順にはそれが必要だ。だから先頭係数——これを a と呼ぼう——が 1 以外なら、最初の一手でそれを取り除く。方法は二つあり、式を書き換えるだけか、方程式を解くかによって選ぶ。

方程式を解くなら、各項を a で割る。 全体がゼロに等しいので、a で両辺を割っても何も変わらず、先頭係数をすぐに 1 にできる。2x2 + 12x + 10 = 0 で試そう:

式を書き換えるだけなら、x を含む項から a を括り出す。その後、括弧の中で平方完成する。3x2 − 12x の例:

方程式を解く場合——ほとんどの場面——は、a で割る方がミスが少ない。余分な係数を括弧に対して追跡する必要がないからだ。迷ったら先に割ろう。

11.2.4 平方完成で方程式を完全に解く

いよいよすべてをまとめて実際に解いてみよう。手順にはリズムがあるので覚えておこう:定数を右辺に移す、角を両辺に加える、左辺を完全平方式に折りたたむ、根を取る。 x2 + 6x + 5 = 0 を最初から最後まで解こう。

二点強調しておく。まず、初心者がよく見落とすステップ:角を両辺に加えること。9 を左辺だけに加えたら方程式が変わり、答えが間違う。次に、根を取るときの ±——正の数には平方根が二つあり、負の方を落とすと解を一つ失う。「答えが一つしか出ない」ミスのほとんどは、± の付け忘れが原因だ。

実数解がないとき

折りたたむと (x + m)2 = k になる。平方は負になれないので、k < 0 なら実数解はない——実数を二乗して負にはなれない。例えば (x + 2)2 = −9 には実数解がない。これはミスではなく、その放物線が x 軸と交わらないことを方程式が教えてくれているのだ。

🎮 試してみよう平方完成で解く

x2 + bx + c = 0bc を設定しよう。(x + b/2)2 = k に折りたたまれる様子を観察して、根を読み取ろう。

b 6
c 5

11.2.5 幾何学的な意味——名前の由来

「平方完成」は比喩ではない。ある図の文字通りの説明であり、一度見れば「なぜ半分にして二乗するのか」を永遠に忘れない。x2 + bx から始めよう。面積として読む:一辺 x の正方形(面積 x2)に、縦が b で横が x の長方形(面積 bx)が並んでいる。

操作はこうだ。縦 b、横 x の長方形を真ん中で縦に切り、それぞれ幅 b/2、長さ x2 枚の帯にする。一枚を正方形の右辺に、もう一枚を下辺に添える。できたものを見ると、ほぼ一辺 (x + b/2) の大きな正方形だ——ただし遠い角に、ちょうど b/2 × b/2 の小さな正方形の欠けがある。

🎮 試してみよう角を加える前と後

角をオン・オフで切り替えよう。「前」は x2 + bx、「後」は完成した正方形 (x + b/2)2

b 6

そしてオチ。その欠けた形を正真正銘の正方形にするには、欠けた角——面積 (b/2)2 の小さな正方形——を填め込まなければならない。その角を加えることが「平方完成」だ。それが名前の由来のすべてだ。そして図は、単に暗記しがちな公式の理由を教えてくれる:帯が2 枚あって長方形を分け合うから幅がそれぞれ b/2 になり、そのため開いた角の一辺が b/2 となり面積は (b/2)2 だ。だから二乗の前に半分にする——b2 を加えたら角が 4 倍大きくなってしまう。

大事なアイデアをひとことで

完全平方式の公式を逆に読むと、x2 + bx には角 (b/2)2——x の係数の半分を二乗したもの——がちょうど一つ足りないとわかる。加えると式は (x + b/2)2 にたたまれる。先頭係数が 1 でなければ先に割り切る(式を書き換えるだけなら括り出す)。方程式を解くには、定数を右辺に移し、角を両辺に加え、左辺を完全平方式にたたんで、± をつけて根を取る——それで が二つ求まる。右辺が負になれば実数解はない。全体は幾何学でもある:正方形の周りに二本の帯を置くと角が一つ開き、そこを填めるのだ。

次は 11.3

この章でいちばん大胆なことをする:平方完成を数字ではなく文字 ax2 + bx + c = 0 そのものに施す。角は (b/2a)2 になり、代数がたたまれて、解の公式 −b ± √(b2−4ac)2a が飛び出す——暗記するものではなく、自分で導いたものとして。

練習問題 11.2

まず自分で解いてから、答えを開いて確認しよう。

  1. 平方を完成させる数を求めよ:x2 + 10x
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    10 の半分は 5;52 = 25。よって x2 + 10x + 25 = (x + 5)2
  2. 平方を完成させる数を求めよ:x2 − 14x
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    −14 の半分は −7;(−7)2 = 49。よって x2 − 14x + 49 = (x − 7)2
  3. 平方を完成させる数を求めよ:x2 + 3x
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    3 の半分は 3/2;(3/2)2 = 9/4 = 2.25。よって x2 + 3x + 9/4 = (x + 3/2)2。奇数係数は分数になるが問題ない。
  4. 完全平方式として表せ:x2 + 12x + 36
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    12 の半分は 6、62 = 36 は定数と一致するので、x2 + 12x + 36 = (x + 6)2
  5. 完全平方式として表せ:x2 − 2x + 1
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    −2 の半分は −1、(−1)2 = 1 は定数と一致するので、x2 − 2x + 1 = (x − 1)2
  6. 平方完成で解け:x2 + 4x − 5 = 0
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    定数を移す:x2 + 4x = 5。角は (4/2)2 = 4;両辺に加える:x2 + 4x + 4 = 9、よって (x + 2)2 = 9。すると x + 2 = ±3x = 1 または x = −5
  7. 平方完成で解け:x2 − 6x + 8 = 0
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    x2 − 6x = −8。角は (−3)2 = 9;両辺に加える:x2 − 6x + 9 = 1、よって (x − 3)2 = 1。すると x − 3 = ±1x = 2 または x = 4
  8. 平方完成で解け:x2 + 2x + 5 = 0
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    x2 + 2x = −5。角は 1:x2 + 2x + 1 = −4、よって (x + 1)2 = −4。平方は負になれないので、実数解なし
  9. 2x2 − 8x + 6 = 0 を解け(先頭係数が 1 でない)。
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    各項を 2 で割る:x2 − 4x + 3 = 0。次に x2 − 4x = −3、(−2)2 = 4 を両辺に加える:(x − 2)2 = 1。よって x − 2 = ±1x = 1 または x = 3
  10. 面積の図を使って、なぜ (b/2)2 を加えて b2 は加えないのかを説明せよ。
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    bx の長方形を2 等分して、x2 の正方形の二つの辺に貼り付けるためだ。だから各帯の幅は b/2 になる。残る角の切り欠きは一辺が b/2 なので面積は (b/2)2b2 を加えたら角が 4 倍大きくなり等式が崩れる。

🎯 確認テスト

正しいと思う答えを選ぼう。

§ 教える方へ

この授業は CCSS A-REI.B.4a(平方完成による二次方程式の解法)と A-SSE.B.3b(平方完成による頂点・最大最小の明示)を対象にしている。支配的な二つの誤解——b2 を加えてしまうこと(本来は (b/2)2)と、方程式を解くときに角を片側だけに加えてしまうこと——はどちらも正面から取り上げる。グノモン・面積モデルは最初の誤解の解毒剤だ。長方形を二枚の帯に分ける必要から「半分にしてから二乗」が視覚的に必然となる。「± をつけて根を取る、k < 0 に注意」という枠組みは、判別式や放物線の頂点形式への後の学習の土台を作る。生徒が幾何学的な図を自分の言葉で語れるようになれば、方法を暗記するのではなく理解して使えるようになる。

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