複利・半減期・対数スケール・指数の解放まで — 現実世界に生きる指数関数。
指数関数は黒板だけの話ではない — お金の複利、放射性崩壊、うわさやウイルスの拡散、そして何桁にもわたる数値を扱う方法、すべてに指数が宿っている。この授業では、これまでに身につけたツールを現実世界に向けてみよう。成長は A = P(1 + r)n、崩壊は A = A0(½)t/T でモデル化し、未知の指数を解放するために対数を使う — 「いつ2倍になるか?」に答えるために。地震・音・酸性度を対数スケールに収め、等間隔が等倍率を意味する世界を体感する。そして、指数的成長がいかに激烈かを骨の髄まで感じてほしい。すべての数値は GX.expf・GX.logb と平面エンジンから計算されているので、各図は嘘をつかない。
利率 r の口座に P 円を預けて放置する。1期後の残高は P(1 + r)。次の期はその新しい合計に利息がつくので、残高は P(1 + r)(1 + r) = P(1 + r)2 になる。これを続けると、n 期後は:
A = P(1 + r)n
これは期数 n の指数関数で、底は 1 + r。利息にさらに利息がつく「複利」が、直線ではなく指数関数にする正体だ。1000ドルを年5%(r = 0.05)で10年間運用すると:
1000 · 1.0510 = $1628.89
普通の単利は毎年元本Pにだけ利息がつく:A = P(1 + r·n)、つまり直線 (ライン)。複利はその時点の残高全体に利息がつく:A = P(1 + r)n、上昇する曲線。最初はほぼ同じに見えるが、年数が経つにつれて曲線は直線をじわじわ上回る — この差が「利息の利息」だ。
同じ仕組みを逆向きに動かしてみよう。増えるのではなく、毎回一定の割合で減る量がある。放射性サンプルは半減期 T と呼ばれる一定の時間ごとに原子の数がちょうど半分になる。最初の量を A0 とすると、時間 t 後には t / T 回の半減期が過ぎたことになり:
A = A0·(½)t/T
これは底が 0 と 1 のあいだにある指数関数 — 指数的崩壊だ。かつて生きていたものの年代測定に使われる炭素14の半減期はおよそ T ≈ 5730 年。元の 14C の 25% しか残っていない骨は、半分→さらに半分と2回崩壊している:
(½)1 = ½ → (½)2 = ¼ = 25%、つまり 半減期2回分 ≈ 11 460年 前のもの。
成長(a > 1)は上昇し、崩壊(0 < a < 1)は 赤い漸近線 y = 0 に向かって下降する。モデルは決してゼロに到達しない — 常に 14C のひとかけらが残る — ただひたすら半分、半分、半分と近づいていく。この y = 0 への果てしない接近が漸近線だ。
自然に湧く次の疑問 — 「お金が2倍になるのはいつ? サンプルが10%になるのはいつ?」 — 未知数が指数の位置に入ってくる。足す・引く・掛ける・割るという普通の操作では届かない;それらは底に作用し、べき乗には触れられないからだ。この仕事のためにあるツールが対数だ:両辺の対数を取れば、指数が下りてきて手が届くようになる。
1000ドルを年5%で2000ドルに倍増させたいとしよう:
1000 · 1.05n = 2000 ⇒ 1.05n = 2 ⇒ n = log1.05 2 = lg 2lg 1.05 ≈ 14.2年。
「lg」を常用対数とすると、lg 2 ≈ 0.3010、lg 1.05 ≈ 0.0212 なので n ≈ 0.3010 / 0.0212 ≈ 14.2。(24.3 対数で学んだ底の変換公式により、どの底でも同じ — ln 2 / ln 1.05 も同じ答えを与える。)
倍増時間を素早く暗算するには、72 を利率(パーセント)で割る。5%なら 72 / 5 ≈ 14.4年 — 正確な14.2年にほぼ一致する。6%なら 72 / 6 = 12年、8%なら 72 / 8 = 9年。この法則が成り立つのは、小さな利率では lg 2 / lg(1 + r) が 0.72 / r に近いからだ。
細菌は毎時2倍に増える:個数 = 2t(t は時間)。個数が初めて100を超えるのはいつか?
2t = 100 ⇒ t = log2 100 = lg 100lg 2 = 20.3010 ≈ 6.64時間。対数が指数を下に引き下ろして解けるようにしてくれた。
細菌(約10−6 m)とシロナガスクジラ(約30 m)を同じ軸に描くにはどうすればよいか? 普通のものさしでは、細菌もアリも最初の1ピクセルに押しつぶされてしまう。解決策が対数スケールだ:1、2、3、… と刻む代わりに、等間隔で 100, 101, 102, … と刻む。1目盛り右に動くことは、固定量を足すのではなく — 10を掛けることを意味する。
対数スケールでは、値 v は位置 log10 v に置かれる。等距離は等差ではなく等比を意味する。だから10倍のジャンプ — 細菌から砂粒へ、砂粒から人へ — がすべてきれいな1目盛りに見える。要点は:何十桁にもわたる量がひとつの数直線にすっきり収まることだ。
次の3つの有名なスケールもこの原理で作られている。測定対象が膨大な範囲に広がるからだ:
| スケール | 測定対象 | 1段階上がると |
|---|---|---|
| リヒター | 地震の大きさ | 地面の振幅が約10倍(エネルギーは約32倍) |
| デシベル (dB) | 音の大きさ | +10 dB ≈ 音のパワーが10倍 |
| pH | 酸性度 | 1単位 ≈ H+ 濃度が10倍 |
つまりリヒター 7 の地震はリヒター 5 より「少し大きい」のではなく — 地面の揺れは約 107−5 = 102 = 100倍、放出エネルギーは約 1000倍 だ。「7」という数字の裏に千倍が隠れている。
人は指数関数を大幅に過小評価しがちだ。厚さ0.1 mmの紙を半分に折り続けることを想像してほしい — 1回折るごとに厚みが2倍になるので、x 回折ると 0.1 mm · 2x の厚みになる。7回折ると約1 cmに達する。さらに続けよう。42 回折ると:
0.1 mm · 242 ≈ 4.4 × 108 m — 月を越える。
(実際に紙を42回折ることはできないが、数学は正直で、それがポイントだ。)では指数関数と直線のレースを見てみよう。y = 2x と y = 100x を比べる。最初は直線が先行する — x = 5 では直線が500なのに対し、25 はわずか32だ。しかし指数曲線は毎ステップ倍率で増えており、x = 10 で完全に追い抜く:210 = 1024 > 100·10 = 1000。それ以降、直線は二度と追いつけない。
直線は毎ステップ同じ量を足す;指数関数は同じ倍率を掛ける。長い目で見れば、足し算は掛け算に必ず負ける。直線がどれほど急勾配でも — 100x だろうと百万·x だろうと — 成長する指数関数(底 > 1)は必ず追い越し、二度と追い抜かれない。だからこそ「指数的成長」は侮れない言葉なのだ。
最後にひとつ。べき乗と対数は、直線や放物線と同じように、一方向にしか向かわない — 上か下か、せいぜい一度折れるだけだ。しかし世の中には繰り返す変化が溢れている:振り子の揺れ、毎日の潮の満ち引き、回転する車輪、交流電流。繰り返しを捉えるには新しい種類の関数 — 周期的に循環する三角関数が必要だ。それがステージ25で向かう先だ。
指数関数と対数関数は抽象論ではなく、実際に使えるツールだ:
2000ドルを年3%の複利で投資した。5年後の残高の式を書き、その値を求めよ。
A = 2000·(1 + 0.03)5 = 2000·1.035 ≈ $2318.55。(複利であって単利ではない — 単利なら 2000·(1 + 0.15) = $2300 にとどまる。)
木製の遺物に元の 14C の25%が残っている。半減期は何回分経過したか?
25% = ¼ = (½)2 なので、半減期2回分 経過している。(T ≈ 5730年なら約11 460年前のものだ。)
細菌のコロニーは毎時2倍に増える:個数 = 2n。「2n = 100」を対数を使ってnについて解き、その値を推定せよ。
両辺の対数を取って指数を解放する:n = log2 100 = lg 100 / lg 2 = 2 / 0.3010 ≈ 6.64時間。
72の法則を使って、年6%の投資の倍増時間を推定せよ。
72 / 6 = 12年。(正確な値は lg 2 / lg 1.06 ≈ 11.9年 — 法則は良い素早い推定だ。)
リヒタースケールで、マグニチュード8の地震はマグニチュード5の地震より地面の揺れが何倍強いか?
1単位ごとに10倍で、8 − 5 = 3単位なので、振幅は 103 = 1000倍 大きい。(放出エネルギーはさらに大きい。)
非常に大きなxでは、直線100xと指数関数2xのどちらが大きいか? 一文で説明せよ。
2x が勝つ。直線は毎ステップ固定量を足すのに対し、指数関数は2を掛けるので、掛け算が足し算を追い越し(x = 10 で 210 = 1024 > 1000)、二度と後れを取らない。
6問で定着させよう。正しいと思う答えをタップしてね。
この授業はステージ24の集大成で、指数関数と対数関数がカリキュラムに存在する理由を学習者に示す。核心となる一つのアイデア:指数モデル(成長なら A = P(1 + r)n、崩壊なら A = A0(½)t/T)は、毎ステップ固定の倍率で変化するあらゆるプロセスを捉える。そして未知数が指数の位置にあるとき、対数だけがそこに届く唯一の基本的ツールだ。対数スケールは同じアイデアを横から見たもの — 等距離が等比率を意味する。
注意すべき誤解。 (1) 複利が必要な場面で単利を使う — A = P(1 + rn) は直線だが、複利モデル A = P(1 + r)n はそれより上に曲がり、差は時間とともに広がる。 (2) 対数スケールを線形に読む — 「リヒター7はリヒター5より少し大きい」と思い込み、振幅100倍(エネルギー約1000倍)という差を見逃す。 (3) 急勾配の直線がゆっくりに見える指数関数をいつか追いつくと思う — 追いつかない;長い目では掛け算が足し算に必ず勝つ。
Common Core(高校): F-LE.A.1c と F-LE.A.2(指数的成長・崩壊モデルの認識と構築)、F-LE.B.5(文脈の中でパラメータ P, r, T を解釈)、F-LE.A.4(対数を使って a·bct = d を指数について解く)、F-IF.B.6(変化率・成長の比較)。対数スケールと「指数は直線に勝つ」の流れは F-IF と N-Q のモデリング基準も支える。