Ⅳ 関数 · ステージ 22 — 反比例関数 · 22.5 反比例モデル全レッスン →EN日本語
ステージ 22 · 反比例関数

22.5  現実世界の反比例関数

距離・力・仕事量が一定のとき — 積が固定されると、2つの量は y = k∕x の形でトレードオフになる。意味のある定義域の範囲だけを使おう。

12〜15歳向け · 一歩ずつ丁寧に考える
一定距離 120 km を走る:40 km/h では 3時間、60 km/h ではわずか 2時間 — 速さと時間は t = 120∕v の形でトレードオフになる。v > 0 の部分だけが現実的なので、1本の枝だけを描く。

反比例関数は、積が固定されているあらゆる場面で登場する。一定の距離を移動するとき、速さと時間がトレードオフになる。一定の力を加えるとき、面積と圧力がトレードオフになる。決まった仕事量をこなすとき、人数と日数がトレードオフになる。これらはすべて y = k∕x の形を隠し持っており、k はその固定された積だ。現実の世界が加える新しい規律は 定義域を守ること:速さ・面積・人数は負や0にはなれないので、意味のある枝だけを描いて読む。そしてこの単元全体を振り返ると、この曲線にひそかに新しい性質が見えてくる — 変化率が次第に緩やかになる — これがまさに次のステージの放物線へとつながる扉だ。

22.5.1 反比例モデルを作る

ストーリーを関数に変えるには、固定された積を探そう。変化する2つの量を名前で表し、それらがいつも掛け合わさって一定になる値を書けば、y = k∕x のできあがりだ。一定距離 120 km の旅を考えよう。距離・速さ・時間は「距離 = 速さ × 時間」で結ばれているので、時間 = 距離 ÷ 速さ となり、

t = 120v   (v·t = 120  は常に成立)。

速く走るほど時間は短くなる — そして積 v·t は常に 120 から動かない。3つの速さを式から読み取ろう:v = 40 のとき t = 120∕40 = 3 時間、v = 60 のとき t = 120∕60 = 2 時間、v = 80 のとき t = 120∕80 = 1.5 時間。ここでは定数 k = 120 が距離そのものだ。

重要なポイント

距離が一定のとき、時間は速さの反比例になる:t = (距離)∕vk = 距離。このパターンは固定された積ならどんな場面にも当てはまる。

やってみよう 距離固定 — 速さ対時間
スライダーで速さを動かそう。点は曲線 t = 120∕v の上を動き、v·t はずっと 120 のまま。
速さ v (km/h)

22.5.2 物理における反比例

物理学には固定された積があふれている。接触面積 S一定の力 F を加えると、圧力は単位面積あたりの力になる:

p = FS.

同じ力を広い面積に分散させると圧力は下がる — スノーシューが柔らかい雪の上で沈まない理由、ハイヒールが沈み込む理由がこれだ。F = 600 N のとき、式は p = 600∕SS = 2 m² で p = 300 PaS = 6 m² で p = 100 Pa。同じ形の法則は多い — 一定電圧 U のもとでのオームの法則 I = U∕R や、一定量の気体の体積と圧力のトレードオフなど。一定の分子÷変化する分母は常に反比例だ。

例題

S = 4 m² に F = 600 N: p = 600∕4 = 150 Pa。面積を 8 m² に倍増すると圧力は半分の 75 Pa になる — S·p = 600 が成り立つからだ。

やってみよう 力固定 — 面積対圧力
接触面積をスライドさせよう。面積が大きいほど圧力は小さくなる。S·p は力の値 600 に固定されたまま。
面積 S (m²)

22.5.3 仕事と経済における反比例

同じトレードオフは、固定された合計を変化する数で分け合う場面でも登場する。ある仕事が 36 人日 の作業量だとしよう。人数が増えるほど1人あたりの日数は減る:必要な日数は合計を人数で割った値だ。

d = 36n.

6人なら 6 日、9人なら 4 日、12人なら 3 日 — どの場合も n·d = 36(仕事の大きさ)が成り立つ。同じ発想は、固定予算を品目に分ける場合(1品あたりの単価 = 予算 ÷ 個数)や、一定のデータ量を日数で分ける場合にも使える。固定合計 ÷ 個数は反比例であり、k = 合計だ。

仕事量は 36 人日:点 (6, 6)(9, 4)(12, 3) はすべて d = 36∕n の上にある — 人数が増えるほど日数が減り、n·d = 36 は常に成立する。
重要なポイント

固定合計 ÷ 個数は反比例:d = (合計)∕n、k = 合計。距離・力・予算・データ — 文字は違っても骨格は同じ。

22.5.4 現実的な値の範囲

数学的には y = k∕x2本 の枝を持つ — 第Ⅰ象限に1本、第Ⅲ象限に1本。しかし現実のモデルは定義域の意味のある部分だけに存在する。速さは v > 0、接触面積は S > 0、人数 n は正の整数だ。−40 km/h の速さ−5人の作業員 というものは存在しないので、左下の枝は物理的に意味がない。

つまり第1象限の枝だけを描き、現実に合う答えを読み取る:人数は整数に丸め、負の解は捨てる。反比例モデルを読む前に、必ず「門番の質問」を確認しよう。

曲線 t = 120∕v は2本の枝を持つが、v < 0 の枝はグレーアウトされている:実際の速さは v > 0 なので、第1象限の枝だけを使う。
注意

グラフを読む前に必ず「どの x の値が物理的に意味があるか?」と問いかけよう。v > 0S > 0n は正の整数 — 現実にない枝から値を読んではいけない。

22.5.5 振り返り:変化率はもはや一定ではない

直線一定の割合で変化する:x が等しいステップで進むと、y にも同じ量が加わる(それがステージ 21 で学んだ傾きの意味だ)。双曲線はそうではない22.4 で2つのグラフを同じ平面上に描いたが、動き方はまったく異なる。t = 120∕v に沿って 20 km/h ずつ等間隔で進んで、時間の減少がどう縮んでいくか見てみよう:

v の変化t の変化t の変化量
40 → 60 km/h3 h → 2 h−1 h
60 → 80 km/h2 h → 1.5 h−0.5 h
80 → 100 km/h1.5 h → 1.2 h−0.3 h

毎回同じ 20 km/h のステップなのに、節約できる時間はどんどん小さくなる:1時間、次に30分、そして20分未満。変化率が一定でないから、グラフは直線になれない — 必ず曲がる。この曲がり、変わり続ける変化率こそ、これから学ぶ曲線の特徴だ:次のステージでは二次関数に出会う。その放物線は反対向きに曲がり、変化率は独自の等差で進む。直線の一定の歩み、双曲線の緩やかな曲がり、放物線の加速する広がり — 関数の動き方の3つの違うスタイルだ。

t = 120∕v 上の等間隔 20 km/h のステップでは、時間の減少量が縮んでいく(1 h、次に 0.5 h、次に 0.3 h)— 曲線は曲がる。直線なら減少量はすべて等しいはずだ。
重要なポイント

反比例モデルは積を一定に保つが、変化率は一定ではない — だからグラフが曲がる。それがステージ 21 の直線からステージ 23 の放物線への扉だ。

まとめ

持ち帰るべきこと

· 固定されたがあると、一方の量が他方の反比例になる:y = k∕x、k は一定の積。

· 距離固定t = 120∕v(k = 距離);力固定p = 600∕S(k = 力);仕事量固定d = 36∕n(k = 合計)。

· 現実のモデルは意味のある定義域だけを使う — v > 0S > 0n は正の整数 — だから第1象限の枝だけを描いて読む。

· 直線は一定の割合で変化する;双曲線の変化率は次第に緩やかになるため、グラフが曲がる — これが先にある放物線への扉だ。

練習問題

  1. 旅の距離が 240 km だ。時間を速さの関数として表し、80 km/h のときの時間を求めよ。

    答え

    時間 = 距離 ÷ 速さ なので t = 240∕v(k = 240)。v = 80 のとき:t = 240∕80 = 3 時間

  2. 600 N の力が 4 m² の接触面積にかかっている。圧力を求めよ。

    答え

    p = F∕S = 600∕4 = 150 Pa。(面積を2倍にすると圧力は半分になる。S·p = 600 が成り立つから。)

  3. ある仕事が 48 人日 の作業量だ。8人で行うと何日かかるか?

    答え

    d = (合計)∕n = 48∕8 = 6 日。モデルは d = 48∕n で、n·d = 48 が常に成り立つ。

  4. t = 120∕v において、v > 0 の枝だけを描くのはなぜか?

    答え

    速さは0や負にはなれない — 旅に v ≤ 0 の速さは存在しない — だから正の速さだけが意味を持ち、第1象限の枝だけを使う。

  5. t = 120∕v で、v = 30 から v = 60 のとき、および v = 60 から v = 90 のときの t の変化量はいくらか?どちらが大きいか?

    答え

    30 → 60:t は 4 h → 2 h、減少量 2 h。 60 → 90:t は 2 h → 1⅓ h、減少量はわずか ⅔ h。最初の減少量のほうが大きい — 変化率はどんどん小さくなる。

  6. 直線のグラフは直線だが、双曲線のグラフが曲がる理由を説明せよ。

    答え

    直線は一定の割合で変化する — x の等しいステップが y に等しい量を加える。双曲線の変化率はどんどん小さくなる(減少量が緩やかになる)ので、等しいステップが等しい変化をもたらさず、グラフは必ず曲がる。

🎯 確認テスト

6問で理解を固めよう。正しいと思う答えをタップしてね。

§ 先生・保護者の方へ

この締めくくりのレッスンの大きなテーマはモデル化だ:日常のさまざまな関係に固定された積が潜んでおり、それを見つければ y = k∕x をすぐに書ける — 距離固定なら t = (距離)∕v、力固定なら p = F∕S、仕事量固定なら d = (合計)∕n。定数 k は恣意的な数ではなく、距離そのもの、力そのもの、仕事の大きさそのものだ。グラフに触れる前に積を声に出して確認する習慣(「v·t = 120、常に成立」)を促してほしい。

気をつけたい典型的な誤解は2つある。第一に、生徒は習慣的に比例モデルに手を伸ばしがちだ(「速さが2倍なら何かも2倍」)が、実際は反比例の場面がある — x·y が固定されているかというテストで正しい方向に向けよう。第二に、物理的意味のない負の枝を描いたり読んだりする。「どの x が可能か?」という門番の質問を徹底し、v > 0S > 0n は正の整数を守らせよう。第三のより微妙な点:曲線は変化率が一定ではないため、直線のように平均して扱うことへの誘惑に抵抗しよう。

Common Core: F-LE.A.1 / F-LE.B.5(非線形関係を認識しモデルのパラメータを解釈する)、A-CED.A.2 / N-Q.A.2(y = k∕x でモデル化し、意味のある定義域と単位を選ぶ)、F-IF.B.6(曲線の平均変化率は一定ではない)。このレッスンはステージ 23 の二次関数への静かな足がかりでもある — そこでは異なるが、やはり一定ではない変化率が放物線を生む。

eastmath.com · ステージ 22 · 22.5 反比例モデル · 一歩ずつ丁寧に考える