データ全体をひとつの数で表す — 平均値はデータを釣り合わせ、中央値は真ん中を保ち、最頻値は最もよく出る値を示す。
数の山をまるごと頭の中に抱えるのは難しい。統計学者がまず行うのは、その山をひとつの数に圧縮して全体を代表させること — その数を中心と呼ぶ。しかし「中心」はひとつの概念ではない。データを釣り合わせることもできるし、その真ん中を探すこともできるし、最もよく出る値を名指しすることもできる。この三つはときに大きく食い違う。このレッスンでは平均値・中央値・最頻値の三つをすべて構築し、それぞれがいつ正直でいつ大富豪ひとりが平均値を嘘にするかを示し、最後に一部の値をより重く扱う加重平均を扱う。
全員のお金をひとつの鍋に集めて均等に分ける — ひとりあたりいくらになるか?その均等な取り分が平均値、日常的な「アベレージ」だ。n 個の値をすべて足してデータの個数で割る:
x̄ = x₁ + x₂ + · · · + xₙn = Σ xᵢn
x の上の横棒は「エックスバー」と読む。分子はすべてのデータの値の合計、分母は個数 n。機械的に言えば、平均値は釣り合いの点だ:各値を定規の上に置いた1グラムのおもりと想像しよう。平均値は定規がどちらにも傾かない唯一の場所 — 左へのズレと右へのズレがちょうど打ち消し合う点。
小テストの5つの得点:3, 5, 5, 6, 8。合計して 5 で割る:
x̄ = (3 + 5 + 5 + 6 + 8) / 5 = 27 / 5 = 5.4。
実際の得点に 5.4 はない — 平均値は実際のデータの値でなくてよい。これは「公平な取り分」だ:27点を全員に均等に再配分すると、ひとり 5.4 になる。
下の図では、点がデータで緑の三角形がリアルタイムの平均値。右端の値を動かして、釣り合いの点がどう追いかけるか見てみよう。
全員を身長順に並べて真ん中の人のところへ歩いていく — その身長が中央値だ。中央値が気にするのは位置であって大きさではない。データを並び替えると、n が奇数のときは真ん中の値が中央値、n が偶数のときはふたつの真ん中の値の平均が中央値。
n が奇数。 8, 3, 6, 5, 5 を並び替える → 3, 5, 5, 6, 8。5つの値なので3番目が真ん中:中央値 = 5。
n が偶数。 4, 7, 9, 12 を並び替える。ふたつの真ん中は 7 と 9 なので、中央値 = (7 + 9) / 2 = 8 — リストにない値になることもある(平均値と同様)。
中央値は「どの値が真ん中の位置か」しか問わないため、極端な値の大きさを変えても中央値は変わらない。最高得点を 8 から 800 に変えても、真ん中の人は動かない — その人はやはり真ん中の人だ。この頑固さこそが中央値を頑健(ロバスト)にする。
平均値は各値の大きさを聞くので、ひとつの巨大な値に引っ張られる。中央値は順序しか聞かないので、巨大な値をひょいとかわす。
最頻値は最も頻繁に現れる値 — 一番売れる靴のサイズ、最も多い小テストの得点、店が実際に在庫する答え。平均値や中央値と違い、最頻値は順序のないデータ(好きな色、血液型など)にも使え、複数あってもよい。
三つの中心を同時に試してみよう。ひとつの外れ値を加えたり除いたりして、どの統計量がぐらつくか見てみよう。
小さな店のレジ列に $24, $26, $28, $30, $32 を持つ5人の客がいると想像しよう。平均値も中央値もともに $28 — きれいで対称なデータでは二つは一致する。そこへ $1000 を持つ億万長者が列に加わった:
| 列 | 24, 26, 28, 30, 32 | 24, 26, 28, 30, 32, 1000 |
|---|---|---|
| 平均値 x̄ | 28 | 190 |
| 中央値 | 28 | 29 |
$1000 が平均値を 28 から 190 まで引き上げた — 列のどの普通の客よりも裕福な「典型的な」客という、おかしな結果になる。これが平均値の致命的な欠点:頑健でないのだ。中央値は 28 から 29 へほんのわずか動いただけ — 6人目が加わると真ん中の位置がわずかにずれるだけだから。データが歪んでいるか外れ値を含む場合、中央値のほうが正直な中心になる。対称なデータでは平均値 ≈ 中央値なのでどちらでもよい。
ひとつの外れ値が平均値を群れから大きく引き離すことがある。「アメリカの家庭の平均貯蓄額は $X」(平均値)は少数の億万長者によって大きく膨らんでいる可能性がある。中央値の家庭のほうが実態に近い。また「平均」という言葉自体に注意 — 平均値を指すこともあれば中央値を指すこともあり、どちらか明示しない見出しは何かを隠している。
もうひとつの落とし穴:三つの代表値を平均してはいけない。平均値・中央値・最頻値は「中心はどこか」への三つの異なる答えであり、ひとつの数の三つの推定値をブレンドするものではない。
では、どれを選ぶ?大まかに言えば:外れ値のない対称なデータには平均値(テスト点数、繰り返し測定);外れ値のある歪んだデータには中央値(収入、住宅価格、応答時間);カテゴリや「最もよく出るもの」を問うときには最頻値(在庫するサイズ、最も選ばれた選択肢)。
授業では期末試験が単一の宿題より重く評価されることが多い。単純な平均値はすべての点数を等しく扱う — しかし成績簿はそうなっていない。加重平均は各値に重み wᵢ をつけ、掛け合わせて合計し、総重みで割る:
x̄ = w₁x₁ + w₂x₂ + · · · + wₙxₙw₁ + w₂ + · · · + wₙ = Σ wᵢ xᵢΣ wᵢ
すべての重みが等しければ重みは打ち消し合い、単純な平均値に戻る — つまり通常の平均値は、すべての重みが同じ加重平均にすぎない。
3つの得点 90, 80, 70 に重み 1, 1, 2(最後が2倍)をつける。掛けて足して、総重み 1 + 1 + 2 = 4 で割る:
x̄ = (1·90 + 1·80 + 2·70) / 4 = (90 + 80 + 140) / 4 = 310 / 4 = 77.5。
単純な平均値は (90 + 80 + 70)/3 = 80。最低点への重い重みが加重平均を 77.5 まで引き下げた。
下で重みをスライドして調整しよう。加重平均が最も重みの大きい得点の方へ引き寄せられるのがわかる。
| 代表値 | 意味 | 公式 | 外れ値に頑健? |
|---|---|---|---|
| 平均値 x̄ | 釣り合いの点・公平な取り分 | Σxᵢ / n | いいえ — 引っ張られる |
| 中央値 | 並べたときの真ん中の値 | 真ん中(または2つの平均) | はい — ほぼ動かない |
| 最頻値 | 最も頻繁に現れる値 | 最大頻度(0・1・複数可) | はい — 頻度基準 |
| 加重平均 | 一部の値をより重く扱う | Σwᵢxᵢ / Σwᵢ | いいえ — 平均値と同様 |
中心をひとつの数で表すだけでは全体像はわからない — 平均値が同じでも、一方は穏やかでもう一方は激しいデータセットが存在する。「データはどれだけ散らばっているか?」という第二の問いは次のレッスン 四分位数と散布度 のテーマだ。(また、対称な「平均値 ≈ 中央値」の山の形は 統計的推論 の釣り鐘型の正規曲線に通じる。)
4, 8, 8, 10, 15 の平均値と中央値を求めよ。
平均値 = (4 + 8 + 8 + 10 + 15)/5 = 45/5 = 9。並び替えると真ん中(3番目)の値は 8 なので 中央値 = 8。15 が引き上げるため平均値は中央値よりわずかに高い。
データセット 2, 5, 7, 10(偶数個)の中央値を求めよ。
n = 4 のとき、ふたつの真ん中の値は 5 と 7。中央値 = (5 + 7)/2 = 6 — リストにない値だが中央値としては問題ない。
クラスの7つのテスト点数は 70, 72, 72, 75, 78, 80, 95。最頻値を答え、平均値と中央値のどちらがより適切なまとめかを説明せよ。
72 が2回現れ他はすべて1回なので 最頻値 = 72。孤立した高い外れ値 95 が平均値(≈ 77.4)を中央値 = 75 より上に引き上げる。「典型的な」生徒をより正直に表すのは中央値だ。
ある生徒が宿題で 80 点(重み 20%)、中間テストで 72 点(重み 30%)、期末テストで 90 点(重み 50%)を取った。加重平均の成績を求めよ。
x̄ = (0.20·80 + 0.30·72 + 0.50·90) / (0.20 + 0.30 + 0.50) = (16 + 21.6 + 45)/1 = 82.6。重い期末テストが単純平均 (80+72+90)/3 ≈ 80.7 よりも成績を押し上げる。
4つの数の平均値が 12 である。5番目の数 22 を加えると新しい平均値はいくつか?
4つの値の平均値が 12 なので合計は 4·12 = 48。22 を加えると新しい合計は 70、値は5つなので新しい平均値 = 70/5 = 14。(「平均値 × 個数 = 合計」から逆算するのが鍵。)
あるニュースの見出しに「TechCo の平均給与は $180,000」とある。実際には従業員 10 人のうち 9 人が $60,000、CEO 1 人が $1,260,000 を稼いでいる。この見出しは誤解を招くか?どの数値を報告すべきか?
見出しは平均値を使っている:(9·60,000 + 1,260,000)/10 = 1,800,000/10 = $180,000 — しかし 10 人中 9 人ははるかに少ない収入だ。CEO の給与という外れ値が平均値を引き上げている。中央値は $60,000(10人の $60k 稼ぎの真ん中は 5番目と 6番目の平均で両方 60,000)で、はるかに正直な「典型的な」給与だ。中央値を報告すべき。
6問で理解を定着させよう。正しいと思う答えをタップしてね。
このレッスンでは三つの代表値(平均値・中央値・最頻値)と加重平均を扱い、CCSS HSS-ID.A.2(データの分布の形に応じた統計量を使って二つ以上のデータセットの中心を比較する)および HSS-ID.A.3(外れ値の影響を考慮しながら中心の違いを解釈する)に対応する。このページのすべての統計量(平均値・中央値・最頻値・加重平均)は共有の GX ヘルパーで計算されており、図から読み取ることはないので、釣り合いの支点と中央値の目盛りは常に計算結果と一致する。自然な発展として次のレッスン(HSS-ID.A.1/2/3:箱ひげ図・四分位範囲・標準偏差)で、中心だけでは不十分なことを示す。