1 回の二択試行から釣り鐘曲線へ——確率が「個数の比」から「面積」に変わる瞬間。
ステージ 33 では確率変数 X と分布表、そして期待値 E(X) と分散 D(X) という 2 つの要約統計量を学んだ。ここでは、現実の世界で繰り返し登場する名前のついた分布を紹介しよう。1 回の二択試行はベルヌーイのブロック;それを n 回繰り返して成功回数を数えると、ステージ 32 の二項展開の 1 項として現れる二項分布 B(n, p) になる。非復元抽出になると二項分布は超幾何分布に変わる。そして本当の境界を越える:X が任意の実数値をとれるとき、分布はもはや棒の列ではなく滑らかな密度曲線になり、確率はその下の面積として表される——そして有名な正規ベルと 68–95–99.7 の法則に行き着く。
最もシンプルな確率実験から始めよう:結果がちょうど 2 通りの 1 回の試行——表か裏、不良品か良品、フリースローの成功か失敗。成功を 1、失敗を 0 と記録する。すると X ∈ {0, 1} となり、分布表は 2 列だけ:
| X | 0 | 1 |
|---|---|---|
| P | 1 − p | p |
ここで p = P(成功)。これが後のすべてのモデルの基本単位となる。2 つの要約統計量は 33.7 の公式から直接導ける:
E(X) = 0·(1−p) + 1·p = p, D(X) = (0−p)²(1−p) + (1−p)²·p = p(1 − p).
分散 p(1−p) は p = 0.5(最も不確実——公正なコイン)のときに最大となり、p が 0 または 1 に近づくにつれて 0 に近づく(ほぼ確実な結果はほとんどぶれない)。
ベルヌーイ(2 点)試行とは、成功確率 p の 1 回の実験のこと。E(X) = p、D(X) = p(1 − p) である。結論:最もシンプルな確率変数は重み付きのコイン投げにすぎず、より大きなモデルはこれをたくさん積み重ねたものだ。
同じベルヌーイ試行を n 回、独立に、毎回同じ成功確率 p で繰り返す。X = 成功回数 とすると、X は二項分布に従い、X ~ B(n, p) と書く。
成功がちょうど k 回になる確率はどれくらいか? 成功 k 回と失敗 n − k 回の特定の並び——例えば SSF…F——の確率は、独立性より pk(1 − p)n−k(各試行の確率の積)。同じ回数になる並びが C(n, k) 通りあるので、それを全部足す:
P(X = k) = C(n, k) pk(1 − p)n−k, k = 0, 1, …, n.
これはまさに [(1−p) + p]n の展開式の第 k 項——だから確率は非負で、[(1−p) + p]n = 1n = 1 に自動的に合計され、有効な分布になる。ステージ 32 の二項定理がそのまま登場する。
フリースローを成功確率 p = 0.5 で n = 8 本打つ。ちょうど 3 本成功する確率は P(X = 3) = C(8, 3)(0.5)³(0.5)⁵ = 56 · (0.5)⁸ = 56/256 ≈ 0.219。(確率はすべて公式から求める。56 = C(8, 3) — グラフの棒を目で読んではいけない。)
ベルヌーイのブロックから二項分布を作った恩恵がここで現れる。X = X₁ + X₂ + … + Xₙ と書けば(各 Xᵢ は 0 か 1 のベルヌーイ試行)、期待値は加法性(33.7 の線形性)から、独立な場合は分散も加法性から:
E(X) = n·p = np, D(X) = n·p(1−p) = np(1 − p).
長い和 Σ k·C(n,k)pᵏ(1−p)ⁿ⁻ᵏ を手で計算する必要はない。8 本のフリースローで p = 0.5 のとき:E(X) = 8·0.5 = 4 本(平均)、D(X) = 8·0.5·0.5 = 2、標準偏差 σ = √2 ≈ 1.41 本のばらつき。上のウィジェットで np と np(1−p) をリアルタイムに確認できる。
X ~ B(n, p) のとき:E(X) = np、D(X) = np(1 − p)。結論:二項分布は n 個のベルヌーイ原子の和なので、平均と分散はその n 倍になる。
二項分布は独立・固定 p の試行を前提とする。これは復元抽出(カードを毎回戻す)のとき成り立つ。しかし現実の多くの標本抽出は非復元だ:M 個の「良品」を含む N 個のバッチから n 個を取り出して良品数を数える。毎回取り出すと残りが変わるため、試行は独立でなく、p も固定されない——これが超幾何分布だ。代わりに組み合わせで数える(33.2 の古典的確率モデル):
P(X = k) = C(M, k)·C(N−M, n−k)C(N, n) (良品 k 個を選ぶ方法 × 残りを不良品から選ぶ方法、全体の n 個の選び方で割る).
箱に N = 20 個の電球があり、そのうち M = 8 個が不良品。ランダムに n = 5 個を取り出す。ちょうど 2 個が不良品である確率は P(X = 2) = C(8, 2)·C(12, 3)C(20, 5) = 28·220/15504 ≈ 0.397 ——組み合わせの数から直接求める。誤って p = 8/20 = 0.4 の二項分布として計算すると C(5, 2)(0.4)²(0.6)³ ≈ 0.346:近いが等しくはない。
バッチ数 N が取り出し数 n に比べて非常に大きくなると、1 個取り出しても割合がほとんど変わらず、超幾何分布は二項分布に近づく——百万人を対象とした世論調査が二項分布でモデル化できる理由はここにある。結論:復元→二項分布;非復元→超幾何分布(より狭い)。
これまでの分布はすべて離散型だった:X は飛び飛びの値をとり、それぞれに棒がある。しかし人の身長、電池の寿命、測定の誤差——これらはある範囲内の任意の実数値をとる。列挙はできない。代わりに X を密度曲線 f(x) ≥ 0 で表し、X がある区間に入る確率はその区間上の曲線の下の面積となる:
P(a ≤ X ≤ b) = f の a から b までの下の面積、 全体の曲線の下の面積は 1。
これは驚くべき事実を導く。X がある特定の値に一致する確率は幅ゼロの帯の面積:P(X = a) = 0。連続型変数はある 1 点に「ぴったり」当たることはなく、その近くに落ちる。(だから連続型 X では ≤ と < を書いても結果は変わらない。)
密度の高さは確率ではない。高さ f(x) は 1 より大きくなることもある(鋭く細い曲線は高く積み上がる)。1 点での値だけでは何も分からず——区間の面積だけが確率だ。このレッスンのもう 2 つの注意点:二項分布には独立・固定 p の試行が必要(非復元抽出は超幾何分布で二項分布ではない)、連続型 X では P(X = a) = 0——滑らかな変数に 1 点の確率を持ち出してはいけない。
統計学全体を支配する 1 つの密度曲線がある。ある量が多くの小さな独立した効果の和——測定誤差、試験の点数、集団の身長——であるとき、そのばらつきは平均されて対称で 1 つのピークを持つ釣り鐘曲線に収束する:正規分布、X ~ N(μ, σ²) と書く。2 つの数で完全に決まる:
曲線は μ に関して対称なので P(X ≤ μ) = 0.5:平均が面積を二等分する。全面積が 1 だから、曲線が細くなれば必ず背が高くなる——密度の高さが大きくても確率が大きいわけではなく、集中しているだけだということが改めて確認できる。
すべての正規曲線は形が同じでスケールが違うだけなので、k 標準偏差の帯の内側の面積は、μ と σ に関わらず常に同じ数になる。次の 3 つは覚える価値がある——それぞれが対応する帯の面積だ:
| 帯 | P(|X − μ| ≤ kσ) | ≈ 面積 |
|---|---|---|
| 1σ 以内 | P(μ − 1σ ≤ X ≤ μ + 1σ) | 0.683 |
| 2σ 以内 | P(μ − 2σ ≤ X ≤ μ + 2σ) | 0.954 |
| 3σ 以内 | P(μ − 3σ ≤ X ≤ μ + 3σ) | 0.997 |
データのおよそ 68% が平均から 1σ 以内に、95% が 2σ 以内に、99.7% が 3σ 以内に収まる。3σ の外に落ちるのは 1000 個に 3 個程度——だから品質管理では 3σ を超えた点は「異常」と判定され、単なる偶然ではなく何かが変化したサインと見なされる。
試験の点数が N(70, 8²):平均 μ = 70、σ = 8。62 点から 86 点の間に入る割合は? これは μ − 1σ から μ + 2σ に対応する。対称性から、左側の 68% の半分と右側の 95% の半分を足して:0.341 + 0.477 = 0.818。直接計算しても N(70, 8²) の 62 から 86 の面積 ≈ 0.819。結論:約 82% がその範囲に入る。
| 分布 | P(X = k) / 確率 | E(X) | D(X) | ヘルパー |
|---|---|---|---|---|
| 2 点分布(ベルヌーイ) | P(1) = p, P(0) = 1 − p | p | p(1 − p) | — |
| 二項分布 B(n, p) | C(n, k) pᵏ(1−p)ⁿ⁻ᵏ | np | np(1 − p) | binomP |
| 超幾何分布 | C(M,k)C(N−M,n−k)/C(N,n) | n·M/N | より狭い | hyperP |
| 正規分布 N(μ, σ²) | ベルの下の面積 | μ | σ² | normBetween |
3 つの要点:二項分布は n 個のベルヌーイ原子なので E = np、D = np(1−p);非復元抽出は(より狭い)超幾何分布に切り替える;連続型変数の確率は密度の下の面積——決して高さではない——で、正規分布の 68–95–99.7 の法則はステージ 34 の統計学への入口だ。
これは p = 1/4 のベルヌーイ試行。よって E(X) = p = 1/4、D(X) = p(1−p) = (1/4)(3/4) = 3/16 = 0.1875。
X ~ B(6, 0.5)。P(X = 4) = C(6, 4)(0.5)⁴(0.5)² = 15·(0.5)⁶ = 15/64 ≈ 0.234。また E(X) = np = 6·0.5 = 3 回(平均)。
X ~ B(20, 0.1)。E(X) = np = 20·0.1 = 2 個(期待値)。D(X) = np(1−p) = 20·0.1·0.9 = 1.8、よって σ = √1.8 ≈ 1.34。
非復元抽出なので超幾何分布:N = 10、M = 6(黒)、n = 3:P(X = 2) = C(6,2)·C(4,1)C(10,3) = 15·4/120 = 0.5。二項分布ではない——取り出しは独立でない。
μ = 170、σ = 6。164 から 182 は μ − 1σ から μ + 2σ。68% の半分と 95% の半分を足して:0.341 + 0.477 ≈ 0.818、約 82%。(確認:N(170, 6²) の 164 から 182 の面積 ≈ 0.819。)
密度の高さ f(5) は確率ではない——1 を超えることさえある。連続型変数では、1 つの特定の値に等しい確率は幅ゼロの帯の面積:P(X = 5) = 0。確率は区間の面積としてのみ現れる。
6 問で定着させよう。正しいと思う答えをタップ。
このレッスンはステージ 33 の確率の階段を締めくくり、標準的なモデルに名前をつける。生徒はまず 2 点分布(ベルヌーイ)と二項分布 B(n, p) を学び、E = np と D = np(1−p) を導き、超幾何分布(非復元抽出)と対比する。そして離散的な棒から「確率は面積」という連続密度への概念的な飛躍を経て、正規曲線と経験則 68–95–99.7 に至る。HSS-MD.A.3(確率変数の確率分布を作成して期待値を計算する)と HSS-ID.A.4(平均と標準偏差を使ってデータを正規分布に当てはめ、正規曲線の下の面積が確率であることを認識しながら母集団の割合を推定する)に直接対応している。家庭でも繰り返し伝えたい注意点:密度曲線が高くても確率が大きいわけではない——確率は塗りつぶされた面積だけであり、連続型変数の 1 つの特定の値の確率は 0 である。ここがステージ 34 の統計学への入口だ。