数え上げが難しいときは、1000回のランダムな試行に語らせよう — 頻度が真の値に近づいていく様子を見てみよう。
確率をそのまま数え上げられることもある。たとえば2つのサイコロのP(合計 = 7)は6/36で、迷いなく求まる。しかし現実の多くの問いは、きれいに数え上げられない。図形が複雑だったり、試行が何段階にも及んだり、「有利な結果」の定義が曖昧だったりする。式が行き詰まっても、実際に試してみることはできる。乱数を使って1回の試行を模倣する仕組みを作り、ボタンを何千回も押して、関心のある事象が何回起きるかを記録しよう。その長期的な割合が、第33.1節で学んだ頻度そのものであり、真のPに近づいていく。このレッスンでは、その考えをπすら推定できる道具へと磨き上げる。
すべてのシミュレーションは、1つの素朴な材料から始まる。区間[0, 1)から一様に取り出した乱数だ。「一様」とは、区間のどの部分も偏りなく選ばれるということ — 0.03付近の値も0.91付近の値も、まったく同じ確率で現れる。電卓のRANDキーでも、ルーレットでも、プログラムの一行でも、結果は同じ — 0以上1未満の予測不可能な小数だ。
その1つの一様乱数で、ほとんどあらゆる単純な試行を模倣できる。公平なコインを投げるなら、uを取り出してu < 0.5のとき表と判定する。確率0.7で表が出る偏ったコインなら、閾値を動かすだけ:u < 0.7のとき表。公平なサイコロなら、[0, 1)を6等分してuがどのストリップに落ちるかを読み取る。
[0, 1)上の一様乱数は、万能な試行生成器だ。閾値pと比べよう。pを下回る確率はちょうどpになる。なぜなら、有利なストリップ[0, p)が区間全体の割合pを占めているからだ。これは直線上の幾何確率そのものだ。
まとめ。 [0, 1)上の一様乱数1回を閾値と比べるだけで、任意の確率を持つイエス・ノーの試行を再現できる。
方法全体をひと言でまとめよう。(1)乱数を使って1回の試行を記述する。(2)その試行を大きな数n回だけ繰り返す。(3)事象が起きた回数mを数える。推定値は頻度mnだ。大数の法則 — 第33.1節の核心 — によって、nが大きくなるほど頻度の揺れは小さくなり、真のPに近づいていく。
実際に確かめてみよう。下では、公平なコイン(p = 0.5)を何度も投げて、各投げ後の表の累積頻度をプロットする。最初の数回は大きく跳ねる — 表が続けば曲線は高くなる。しかし0.5の破線は磁石のように働く。投げれば投げるほど、曲線はそこにぴったり寄り添う。
画鋲が先端を上にして落ちる確率がわからないとしよう。1000回投げて372回先端が上になった。推定値は3721000 = 0.372だ。さらに1000回投げると0.361になるかもしれない — 少し違う推定値だ。どちらも「正解」ではなく、どちらも同じ隠れたPの正直な読み取りだ。投げる回数が増えるほど、ばらつきは狭まっていく。
まとめ。 シミュレーションは難しい確率を集計に変える。1回の試行を模倣して何度も繰り返し、成功頻度mnでPを推定する。nが増えるほど精度が上がる。
物語のある問いに取り組もう。3人の子どもがいる家族で、それぞれ独立に確率0.5で女の子か男の子が生まれるとする。少なくとも1人が女の子である確率は? 第33.3節の余事象の公式を使えば正確に求まる。失敗(全員男の子)となる唯一の場合は、
P(少なくとも1人が女の子) = 1 − P(全員男の子) = 1 − (0.5)3 = 1 − 18 = 7/8 = 0.875。
しかしこの手法を知らなかったとしよう。それでもシミュレートできる。各家族は3回のコイン投げ、「少なくとも1人の女の子」は3回のうち少なくとも1回表が出ることに対応し、条件を満たす家族の割合を集計する。下のシミュレーターがまさにこれを行う。家族の数が増えるにつれて緑の推定値が破線の正確な 7/8に近づいていく様子を見て — そして毎回少し違う値に落ち着くことに気づこう。
シミュレーションは推定するだけで、正確な値を証明することは絶対にない。試行回数が多いほど推定は絞り込まれるが、7/8 ≈ 0.875の試行が今日は0.862、明日は0.889になることもある。正確な値が必要で数え上げができるなら数え上げよう。数え上げが難しいとき、または確認したいときにシミュレーションを使おう。
まとめ。 複数段階の実際の問いが一連の乱数の引き出しになる。シミュレーションの頻度は正確な7/8に近づき、手計算でも確かめられる結果を裏付ける。
シミュレーションの真骨頂は、一見確率と無関係な数を推定することだ。それがπだ。単位正方形0 ≤ x ≤ 1, 0 ≤ y ≤ 1の一角に、四分の一円x² + y² ≤ 1が収まっている。正方形の面積は1、四分の一円の面積はπ4だ。よって正方形の中にランダムに点を落とすと、第33.2節の幾何確率の考え方から、
P(点が四分の一円の内側に落ちる) = 内側の面積正方形の面積 = π/4。
これを逆に使う。n個のランダムな点をばらまき、内側(x² + y² ≤ 1)の点を数える。割合insidenがπ/4を推定するので、
π ≈ 4 · 内側合計。
各点は内側は緑、外側は赤で色分けされる。判定は正直なテストx² + y² ≤ 1によるもので、目分量ではない。nを増やすと推定値は真のπ = 3.1416…に絞り込まれるが、ぴったり一致することは絶対にない。
500点をばらまいたら382点が内側に落ちた。推定値はπ ≈ 4 · 382500 = 4 · 0.764 = 3.056 — 3.1416に近く、誤差は約3%だ。5000点なら誤差は通常約1%に縮まる。誤差はおよそ1/√nのように減る。典型的な誤差を半分にするには、点の数が約4倍必要だ。
まとめ。 四分の一円の内側の点を数えることでπ/4を推定する。よってπ ≈ 4 · 内側 / 合計 — 純粋な乱数によって取り出された幾何確率であり、点が増えるほど精度が上がるが、決して正確にはならない。
シミュレーションの答えには必ず但し書きがある。それは標本であって、確実性ではない。正直に向き合うための2つの考え方を紹介しよう。
試行が多いほど、答えが絞り込まれる。 nを2倍にしても精度は2倍にならない — 典型的な誤差は1/√nのように縮まるので、誤差を半分にするには約4倍の試行が必要だ。だからシミュレーションは数十回ではなく、何千回・何百万回と実行する。
試行ごとに答えが違う。 同じ問いに対する2つの誠実なシミュレーションは、わずかに食い違う。どちらも間違いではなく、同じ隠れたPの偏りのない一断面だ。1つの小数を正確な値として報告するのは落とし穴だ — シミュレーションは真の値の近傍を与えるものであり、nを大きくするほどその近傍が狭まる。
まとめ。 シミュレーションはPに近い値を、1/√nのように縮まるばらつきとともに報告する。nの大きさを信頼すること、運よく出た1つの結果を信頼してはならない。
| 概念 | 仕組み | 読み取れること |
|---|---|---|
| 乱数 | [0, 1)上の一様乱数。閾値pを下回れば成功 | 任意のイエス・ノーの試行を模倣する |
| シミュレーション | 1回の試行を模倣してn回繰り返し、m回の成功を数える | P ≈ mn |
| 幾何的推定 | 点をばらまき、目標内側の割合が面積比を推定する | π ≈ 4 · 内側合計 |
| 精度 | 典型的な誤差は1/√nのように縮まる | 試行を4倍にすると誤差が半分に |
| 正直さ | あくまでも推定であり、正確な値ではない | 数え上げられるなら数え上げ、できないときシミュレート |
6つの面のうち2つが有利なので、成功は区間の26 = 1/3を占めるべきだ。「成功」をu < 1/3(ストリップ [0, 1/3)、長さ1/3 ≈ 0.333)とする。長さ1/3のストリップならどれでも同様に機能する。
推定値 = 328800 = 0.41。0.5を下回るが、800回1回の試行ではぶれることがある。これは証拠であって、証明ではない。さらに多く投げれば、0.41が維持されるか0.5に戻るかがわかる。
π ≈ 4 · 15262000 = 4 · 0.763 = 3.052。真のπは3.1416なので、推定値は約0.090低い — 数千本の矢では典型的な誤差2.8%程度だ。
各家族を公平なコイン4回投げとしてシミュレートする。「成功」=少なくとも3回表。多数の家族にわたる割合を集計する。正確には:P(ちょうど3人) + P(ちょうど4人) = 416 + 116 = 516 = 0.3125。シミュレーションの頻度は0.3125に近づくはずだ。
シミュレーションは常に推定するだけだ。πに5桁一致するのは驚くべき偶然であり、次の試行では違う値になる。推定値は4 · 内側 / 合計 — 整数の比 — なので、特定の有理数にしかなれず、π自体にはほぼ絶対になれない。精度は高くなれるが、正確にはなれない。
誤差は1/√nのように縮まるので、誤差を3分の1にするには約3² = 9倍の試行が必要だ。つまりおよそ9000回。(誤差を単に半分にするだけでも約4倍の試行が必要だ。)
6問で理解を定着させよう。正しいと思う答えをタップしよう。
このレッスンは、正確な数え上げが難しい場合の確率推定手段としてのシミュレーションと、理論的な答えを実験的に確認する方法を扱う。CCSS HSS-IC.A.2(シミュレーションなどを使ってモデルがデータと一致するか判断する)およびCCSS HSS-MD.A.3(経験的頻度と理論的確率を比較する)に対応している。モンテカルロπウィジェットと「少なくとも1人の女の子」シミュレーターはいずれも既知の正確な値(π/4と7/8)に向かって収束するため、頻度が真の値に近づく様子を観察できる。一貫したテーマ:引用されるすべての確率は乱数試行の比率から来ており、推定値は1/√nのように絞り込まれるが、決して正確にはならない。有益なフォローアップの議論:いつシミュレートするより数え上げる方が賢いか?