事象が互いに影響しないなら確率を掛ける。一方の事象が起きたとわかれば、舞台を絞り込む — そこから乗法定理・全確率の定理・ベイズの定理が生まれる。
昨日のコインは今日のことを覚えていない。公平なコインを投げて表が出ても、もう一度投げれば表の確率はまだ0.5だ、変わらない。このように互いを無視し合う事象を独立といい、そのとき確率はただ掛け算になる。しかし面白い問いのほとんどは逆だ。ヒントが来て、それがオッズを変える。「偶数が出た — では6の目の確率は?」というその瞬間、標本空間全体が偶数の面だけに絞り込まれ、その小さな舞台から読み取る確率が条件付き確率だ。独立なら掛ける、条件をつければ絞る — この二つの考え方から、このレッスンのすべての道具が生まれる。復元なしの取り出しに使う乗法定理、複数の出所を混ぜ合わせる全確率の定理、そして「結果から逆算して、どこから来たか?」と問うベイズの定理へ。
二つの事象 A と B が独立とは、一方が起きたと知っても、もう一方について何もわからないことをいう。コインとサイコロ、今日の天気と宝くじ、一枚目を戻してから引く二枚目のカード。独立かどうかの判定は一つの等式で決まる:
A, B が独立 ⟺ P(A∩B) = P(A)·P(B).
なぜ積になるのか?樹形図を思い浮かべよう。一回目の投げ結果がHかTかで枝が分かれ、どちらの枝からも二回目はまた同じ確率で分かれる。二回目は一回目を気にしないからだ。「H→H」という特定のパスの確率は、一本目の枝の確率×二本目の確率:0.5·0.5 = 0.25。独立とはまさに「どのノードでも枝の確率が同じ」という宣言だ。
A =「一回目が表」、B =「二回目が表」とする。それぞれの確率は0.5。独立なので、
P(A∩B) = P(HH) = 0.5·0.5 = 0.25.
HH, HT, TH, TT の四つのパスはすべて 0.25 で、0.25×4 = 1 — 正直な樹形図の葉は必ず1に合計される。
まとめ。 独立な事象は確率を掛ける:P(A∩B) = P(A)·P(B)。どのノードでも枝の確率が同じ樹形図がまさにその絵だ。
ここで誰かがこっそり一部を教えてくれたとしよう。公平なサイコロを一つ振る。見る前は P(6) = 1/6 だ。しかし「偶数が出た」という情報 A が来た。この一言は実際の仕事をする:奇数の面を捨て去り、舞台を {2, 4, 6} という小さな空間に絞り込む。その絞られた空間の中では、6 は三つの等確率の面のうちの一つなので、偶数という条件のもとで6の確率は 1/3 だ。これを P(B|A) と書く — 「A が起きたもとでの B の確率」。
定義は「舞台を絞る」を厳密にする。A に制限して、その世界のうち B にも入る割合を聞く:
P(B|A) = P(A∩B)P(A) (ただし P(A) > 0)。
分母 P(A) は新しい舞台の大きさ、分子 P(A∩B) はその中で B がどれだけ残っているか。サイコロの例では:P(偶数 ∩ 6) = 1/6、P(偶数) = 1/2、だから P(6 | 偶数) = (1/6)/(1/2) = 1/3 — 数え方と一致する。
まとめ。 条件づけは標本空間を A に絞り込み、P(B|A) = P(A∩B) / P(A) でその小さな舞台から B の確率を読み取る。
条件付き確率の定義式を整理すると、一段階ずつ確率を組み立てるための道具が得られる。両辺に P(A) を掛けると:
P(A∩B) = P(A)·P(B|A).
左から右へストーリーとして読もう:まず A が起きて(確率 P(A))、それを前提に B が起きる(確率 P(B|A))。これが復元なし抽出の自然な法則だ。一回目の取り出しが二回目のオッズを変えてしまう。独立はその特殊ケースで、ヒントが意味をなさず P(B|A) = P(B) となり、式は P(A)·P(B) に戻る。
袋に赤 5 個と青 3 個のビー玉(計 8 個)がある。一個目を戻さずに二個取り出す。P(両方とも赤) は?
第一段階:P(一個目が赤) = 58。第二段階、赤が一個減っているので 7 個中 4 個が赤:P(二個目が赤 | 一個目が赤) = 47。
P(両方とも赤) = 5/8·4/7 = 20/56 = 5/14 ≈ 0.357.
落とし穴:5/8·5/8 と書いてしまうこと。独立ではないのだから — 赤を取ると本当に次の赤の確率が下がる。
まとめ。 乗法定理は二段階をつなげる:P(A∩B) = P(A)·P(B|A) — 樹形図のパスと同様に、一本目の枝に条件付きの二本目を掛け合わせる。
知りたい事象がいくつかの異なる経路で起こりえるとき、それぞれの経路の起きやすさで重みをつけなければならない。白いボールが箱 1・箱 2・箱 3 のどれかから出てくるとしよう。箱によって白いボールの割合が違う。A₁, A₂, A₃ は標本空間を分割する — 互いに排反でかつ全体を覆う(分割)。このとき白いボールの確率は「その箱を選び、そこから白を引く」の合計だ:
P(B) = P(A₁)·P(B|A₁) + P(A₂)·P(B|A₂) + P(A₃)·P(B|A₃) = Σ P(Aᵢ)P(B|Aᵢ).
樹形図ではこれは「B が起きる葉をすべて足す」に過ぎない。各白い葉は箱の枝×白の枝の積で、白い葉を合計すれば P(B) になる。下のウィジェットでその数字を全部確認しよう。
箱 1 は白1/2、箱 2 は白1/5、箱 3 は白4/5;それぞれ確率1/3で箱を選び、そこからボールを取り出す。
P(白) = ⅓·½ + ⅓·⅕ + ⅓·⅘ = 1/6 + 1/15 + 4/15 = 0.5.
各項は樹形図の白い葉;P(白) はその合計だ。
まとめ。 事象が分割された複数の経路で起きうるとき、各経路をその確率で重みづけする:P(B) = Σ P(Aᵢ)P(B|Aᵢ) — 対応する葉の合計だ。
今作った樹形図は順方向に進む:まず箱、次に色。ベイズは逆方向の問いを立てる。白いボールが見えた — どの箱から来た可能性が最も高い?それが P(Aᵢ|B)、逆向きの条件付き確率だ。条件付き確率の定義と乗法定理を使えば、
P(Aᵢ|B) = P(Aᵢ)·P(B|Aᵢ)P(B) = 一つの白い葉すべての白い葉.
分子は箱 i の白い葉一つ、分母は §33.4.4 の全確率の合計だ。ベイズとはまさに一枚の葉 ÷ 同じ色の葉の合計に過ぎない。ウィジェットの逆方向ボタンで確認しよう:箱を選ぶと、その箱の白い葉 ÷ 白の合計がリードアウトに表示される。
上記の箱では、白い葉は 1/6 ≈ 0.167(箱 1)、1/15 ≈ 0.067(箱 2)、4/15 ≈ 0.267(箱 3)で、合計 P(白) = 0.5。よって
P(箱 3 | 白) = 4/151/2 = 8/15 ≈ 0.533.
白いボールは箱 3 — 白の割合が最も高い箱 — を最も強く指し示す。直感通りだ。
1. 排反 ≠ 独立。 A と B が互いに排反(同時には起きない、P(A∩B)=0)でそれぞれ正の確率を持つなら、A が起きたとわかると B は 0 に強制される — つまりこれ以上ないほど従属な関係だ。排反は独立の反対であり、同じことではない。
2. P(B|A) ≠ P(A|B) — 基準率の落とし穴。「事故の多くは朝食を食べたドライバーが関わっている」は朝食が事故を引き起こすという意味ではない。二つの条件付き確率は逆方向に走り、通常は異なる。P(白 | 箱 3) = 4/5 だが、P(箱 3 | 白) = 8/15 — 同じ二つの事象なのに全く違う数値だ。ベイズはその橋渡しであり、入れ替えを許す免許ではない。
まとめ。 ベイズは樹形図を逆に読む:P(Aᵢ|B) = P(Aᵢ)P(B|Aᵢ) / P(B) — 一枚の葉 ÷ 同じ色の葉の合計。P(B|Aᵢ) と混同しないように。
| 考え方 | 公式 | 図・使いどき |
|---|---|---|
| 独立な事象 | P(A∩B) = P(A)·P(B) | どのノードでも枝の確率が同じ |
| 条件付き確率 | P(B|A) = P(A∩B)/P(A) | Ω を A に絞り、小さな舞台で B を読む |
| 乗法定理 | P(A∩B) = P(A)·P(B|A) | 二段階をつなげる;復元なし抽出 |
| 全確率の定理 | P(B) = Σ P(Aᵢ)P(B|Aᵢ) | 分割上の対応する葉を合計する |
| ベイズの定理 | P(Aᵢ|B) = P(Aᵢ)P(B|Aᵢ)/P(B) | 一枚の葉 ÷ 合計;木を逆に読む |
| 二つの落とし穴 | 排反 ⇒ 従属 | P(B|A) ≠ P(A|B) — 条件付きを入れ替えない |
合計する葉を数えることは再び古典的確率モデルに行き着く;事象そのものは積・和をとる集合だ。次は、手で数えるには多すぎるとき、シミュレーションで代わりに求める。
独立 — 二回目は一回目を知ることができない。P(両方とも表) = 0.5·0.5 = 0.25。
A = {1,3,5} なので P(A) = 3/6 = 1/2。A∩B = {3} なので P(A∩B) = 1/6。よって P(B|A) = (1/6)/(1/2) = 1/3。(数えて確認:奇数の三面のうち 3 の倍数は 3 だけ — 3 分の 1。)
乗法定理。P(一個目が良品) = 4/6 = 2/3;そのとき残り 5 個中 3 個が良品なので P(二個目が良品 | 一個目が良品) = 3/5。P(両方とも良品) = 2/3·3/5 = 6/15 = 2/5 = 0.4。4/6·4/6 と計算するのが独立の落とし穴だ。
二台の機械にわたる全確率。P(不良品) = 0.60·0.02 + 0.40·0.05 = 0.012 + 0.020 = 0.032(3.2%)。各項は樹形図の「不良品」の葉だ。
ベイズ:一枚の葉 ÷ 合計。P(II | 不良品) = 0.40·0.050.032 = 0.020/0.032 = 0.625。機械 II の生産量は少ないが、不良率が高いため不良品の出所として最も可能性が高い。
互いに排反とは A∩B = ∅ なので P(A∩B) = 0。よって P(B|A) = 0/0.3 = 0。独立であれば P(A∩B) = P(A)P(B) = 0.3·0.4 = 0.12 ≠ 0 のはずなので、独立ではない — 従属だ。排反 ≠ 独立。
6問で理解を固めよう。正しいと思う答えをタップしてね。
このレッスンは Common Core の条件付き確率クラスターの核心を扱います。独立性を HSS-CP.A.2 — A と B は P(A∩B)=P(A)P(B) が成り立つときに限り独立 — として解釈します。条件付き確率とその文脈での解釈は HSS-CP.A.3 と HSS-CP.B.6(P(B|A) は A の結果のうち B にも属する割合)、乗法定理 P(A∩B)=P(A)P(B|A) は HSS-CP.B.8 に対応します。全確率の定理とベイズへの第一歩では、これらを標本空間の分割と確率の木の逆読みへ拡張します。指摘した二つの誤概念 — 「排反」を「独立」と混同すること、P(B|A) と P(A|B) を入れ替えること(基準率の落とし穴) — は生徒が最もよく犯すミスなので、声に出して名前をつける価値があります。